新試験制度の傾向
行政書士試験の内容が平成18年度より大きく改正されてから、すでに3回の試験が行われています。新しい試験制度になってから、行政書士試験のあり方がどのように変わってきているのか、ここでは見ていきたいと思います。
大きく変わった点を3つあげると
- 試験科目の変更
- 出題数の変更
- 出題形式の変更
となります。
■出題科目の変更
旧試験の行政書士法、戸籍法、住民基本台帳法、労働法、税法がなくなり、法令科目は「憲法」、「行政法」、「民法」、「商法」(会社法を含む)、「基礎法学」の5科目に集約されました。科目数は大幅に削減されていますが、反対に試験のレベルは明らかに高くなっています。
また旧試験の「一般教養」は、「行政書士の業務に関連する一般知識等」に変更されました。一般知識は「政治・経済・社会」「情報技術・個人情報保護」「文章理解」から構成されています。
法令科目は、以前であれば条文解釈だけでも通用した出題が多くありましたが、新試験では学説や判例レベルまで知識を高めておかないと解けない出題がたくさんあります。
問題が難しくなってきている理由は、近年の行政書士実務が、単に書類の手続きのレベルを超え、相談の際に依頼者の業務についても理解できないと対応できない性質のものに変わってきており、そのため若手行政書士には一層の法的思考能力を求めるという、試験センターの方針によるものではないかと私は思っています。
いずれにしても単に理解や暗記のレベルでは、試験突破は難しいのが近年の試験傾向としてありますので、市販の教材を購入する時には、初版年度(2005年以前のものはお薦めできません)に注意してください。
一般知識の問題も、「一般知識」とはとても呼べないほど、広範で専門的な教養を求められる内容が続いています。
「政治・経済・社会」の問題は、特に広範に渡っており、またその年の時事トピックスからも多くの出題がなされます。
過去問題集や予想問題集プラスα、日頃から新聞やニュースを見て、世の中の動向を押さえておいてください。
■出題数の変更
旧試験では、法令科目40題、一般教養20題でしたが、平成18年度以降は、法令科目46題、一般知識科目14題となっています。 比率を見ると、一般知識のウエイトが高く変わっているのがわかります。これは、旧試験から外された、住民基本台帳法、労働法、税法などに関連した問題が、姿を変え時事問題として一般知識の範囲に組み込まれるようになったから、と見ている専門家も多いようです。 旧試験に比べ科目数は大幅に減っていますが、受験生が勉強しなければいけない法令範囲は、実はほとんど変わっていないのが実情のようです。
■出題形式の変更
法令科目の最近の出題形式は、
- 5つの選択肢から正解を一つ選ぶ「5肢択一式」
- 文章中の複数の空欄に当てはまる語句をそれぞれ選んでいく「多肢選択式」
- 回答を40文字程度で記述させる「記述式」の3つ形式です
また、一般知識科目の最近出題形式は、全て「5肢択一式」です。
「5肢択一式」と「多肢選択式」については、問題のレベルは確かにアップしていますが、解き方そのものは旧試験と変わりません。 問題なのは、新試験から導入された「記述式」の出題です、 例年3問出題されていて、合計で60点も配点されているため、絶対に落とせない問題です。 細かいことですが、法律用語の漢字を正確に書く練習に始まり、各法律にまたがる横断的な理解まで、基礎力を培うことを念頭に置いた勉強を心がけてください。